製作:東京シネマ 提供:三菱化成工業
1954年 イーストマンカラー 17分
この映画のスポンサー三菱化成工業は経営統合され、現在は日本最大の総合化学メーカーである三菱化学となっています。
1950年代初め、同社の主要製品の1つが、石炭を乾留して作るコークスでした。そしてコークスの重要な購入者に、鋳物業界がありました。
この作品は、大切なお得意さんのために企画されたものです。現場の鋳物技術者に正しいキュポラ熔解法を紹介して、技術の向上に役立てようとした作品です。勘や手加減に頼らず、科学的な裏付けの上に立って鋳物づくりの操業をするよう訴えたものです。
この映画が製作された1954年は、日本で本格的なカラーフィルム、イーストマンカラーネガの国内現像が実現した画期的な年でした。
この年、東京シネマは4作品に取り組みますが、映画撮影技術の点では最も野心的な作品です。
当時はカラーフィルムの感度も低く、現在の4分の1以下、しかも非常にラチチュード(許容範囲)が狭く、いちいち色温度計を使って照明光の色温度を計測し、CC(色補正)フィルターを使用して、撮影をしていました。
そのような状況下で、この作品は鋳造現場において重要な技術判断の基礎となる、高温で発光し煮えたぎる焼けた鋳鉄の表面に現れる湯面(ゆずら)模様を記録するという課題に、果敢に挑戦しています。
社団法人 日本鋳物協会
製作:岡田桑三
脚本:吉見泰
演出:野田真吉
撮影:入沢五郎
照明:法島繁義
進行:岡良吉
動画原画:村山知義
アニメーション:日本漫画映画
作曲:箕作秋吉
解説:浅沼博
現像:東洋現像所