製作:英映画社 企画:間組
1957年 35mmフィルム白黒 79分
映画「井川五郎ダム」は、昭和27年(1952年)から昭和32年(1957年)までのダム建設工事を記録であり、また単に工事を記録するだけでなく、開発事業における地元住民との理解のもとに建設が進められた工事として描かれている。
戦後、全国的な電力不足が問題となっていたが、朝鮮戦争による特需景気で工場生産が活発化し、さらに電力需要が逼迫した。このため、電力会社は主要河川で水力発電事業を競って推進していた。中部電力も大井川に大規模なダムを建設して名古屋方面への電力供給を図ろうとした。
井川五郎ダムは日本初の中空重力式コンクリートダムとして計画されたが、井川村の主要集落がダム建設で水没することから、住民は代替地造成による補償を求め、静岡県知事がこれを受け入れた。インフラ整備や公共施設の新設が行われ、井川村の新しい村づくりが進められた。この補償は後のダム建設における補償事業のモデルとなり、水源地域対策特別措置法の源流ともなった。
監督:赤佐政治