制作:東京シネマ新社 企画:日本ビクター
1998年 カラー 全47分
奥入瀬渓流は、青森県十和田湖畔の子ノ口に端を発し、焼山にいたる約14キロの流れである。それはわが国屈指の景勝地として、国の特別名勝・天然記念物にも指定されている。
変化に富んだ流れと、それぞれに異なった姿を見せる数多くの滝に加え、さまざまな奇岩、奇勝と原始の地球から育ってきたブナ原生林の木立とが、優雅にして清冽な渓流の自然美を構成している。
千変万化の美しい渓流の流れは、時には繊細に、時には激しく鼓動し、豊かな水のシンフォニーを聞かせてくれる。四季折々に衣替えする奥入瀬だが、新緑や紅葉の季節は特に見事な景観で、さわやかな音風景を併せて堪能できる至福の場所となる。(残したい日本の音100選)
三沢市北東部の小川原湖畔に広がるヨシ原の海から、国内稀少野生動物種のオオセッカが「ビジョ、ビジョ」と声高らかに舞い上がる。
稀少種のコジュリンは「ピッチリリピツゥ、ピチョ」とさえずり、オオジンギは、ガッガッガッと羽音を立てて上空から急降下してくる。
ヨシ原の主、コヨシキリやクイナが「ケケシ、ケケシ、ジョッピリリ」「チック、チック」と八甲田連峰を背にしてさえずるコーラスは、独特のすがすがしさを演出する。
湖畔の仏沼地区は、オオセッカの世界的な繁殖地の1つで、チョウヒやハッチョウトンボをはじめとする絶滅危急種の生息が確認されるなど、渡り鳥の中継地でもある。野生の生き物たちと間近に感動的な出会いのできる、数少ない湖畔の1つだ。(weblio辞書から)
大船渡・末崎半島の東南、延長12キロの碁石(ごいし)海岸は多くの島、洞窟、松林などがあり、全国渚100選にも指定されています。碁石浜から遊歩道がめぐり松林を抜けると、荒々しい豪快な風景が展開する乱曝谷(らんぼうや)に突き当たります。
乱曝谷は、数十mの切り立った岩壁が向かい合う海の谷間で、眼下の巨岩「雷岩」では岩の下の海食洞穴に打ち当たる波が、その中の空気を圧縮して「ドーン」という独特な音を響かせます。
仙台市は「杜の都」といわれる。青葉通や定禅寺通の大きなケヤキ並木の大トンネル。伊達藩62万石の仙台城跡は、別名青葉城といわれたほど緑が多い。広瀬川畔の西公園、市内中心部の勾当台公園、そして仙台駅東側のつつじが岡公園など、大都市としては圧倒的に緑が多い。
緑が多ければ自然環境も保たれる。花木鳥虫は人間にとっても「命のふるさと」だ。そこで「新しい杜の都づくり宮城野区協議会」は、市虫「スズ虫」でまちづくりをさらに自然豊かなものにしようと努力している。
スズムシは、古(いにしえ)の宮城野を感じさせている風流文化の原点である。スズムシの鳴き声が澄めば澄むほど、仙台宮城野の自然も豊かなのである。
仙台市の中心部から1~2キロほどの広瀬川の河原に、向かい側の岸がちょうど切り立った岸壁となっていて、せせらぎと川に集う鳥の鳴き声などが、こだまとなって響き合うところがある。
四季折々に、野鳥などの声が聞かれるが、特に夏から秋にかけてはカワセミの「ツィー、ツィー」という声や、弓なりの翼を「ツー、バタバタ」と動かすチョウゲンボウなどで賑やかだ。5月末から8月までは、カジカガエルの「フイフイー」という鳴き声を聞くこともできる。
早朝や夕刻、川のすぐそばでないとそれらの音はよく聞こえないが、ダイナミックな活動が営まれる都心部に接するこの地で、大変豊かな自然を味わうことができるのは、文字どおり都会のオアシスの広瀬川ならではのことである。(残したい日本の音100選から)
演出:岡田一男、鈴木由紀
撮影:谷口常也、草間道則
音声:磯山直樹、清水繁
ナレーター:石原良
プロデューサー:吉田博、岡田一男