制作:東京シネマ新社 企画:日本ビクター
1998年 カラー 全46分
冬の北海道を代表する風物詩、流氷を唯一見ることができるのがオホーツク海である。
毎年11月中旬ごろ、シベリア大陸を流れるアムール川の真水がオホーツク海へ流出する際、河口で塩分のうすい海水層を形成し、シベリアからの寒気にさらされて氷の結晶となる。それが海流によって南下する際、厳寒の風に吹かれて除々に成長しながら、やがて北海道のオホーツク沖合に1月中旬ごろ姿を現わし、流氷初日が観測される。
1月から4月までの約3カ月間接岸した流氷によってオホーツク海沿岸は、見渡す限り白一色の氷の世界に変貌する。寒さの中、浜辺で耳を澄ませると、流氷のせめぎ合う不思議な音が聞こえてくる。
(weblio辞書から)
札幌のシンボルとして市民に親しまれているこの時計台は、旧札幌農学校(北海道大学の前身)の演武場として明治11年(1878)に建築された洋風建築で、現存する時計塔としては日本最古のもの。塔上の時計はアメリカ製で当時、時計台の時を告げる鐘は、4キロ四方にわたって鳴り響いたという。
今では周囲をビルに囲まれて、鐘の音はほとんど周辺にだけしか聞こえなくなってしまったが、鐘そのものの音は、明治の昔と変わらない音色を奏でている。
時代の流れとともに、近代的な大都会へと様相を変えた札幌の街にあって、草創期の面影をそのままにとどめている時計台の姿は、その鐘の音とともに悠久の時を越えて私たちの心を魅了してくれる、歴史的文化的音色である。(残したい日本の音風景100選から)
アイヌの人たちが「神々の遊ぶ庭」と呼んだ大雪山国立公園は、全国的にも数少ない、手つかずの大自然が残るエリアである。高山植物や野鳥、動物、昆虫たちが四季折々の美しい大自然の中で息づいている。
その主峰旭岳(2290m)の山麓に設けられたコマクサコース、見晴台コース、クマゲラコース、ナナカマドコースの4つの自然探勝路では、気軽に大雪の自然探索が楽しめる。ここでは、氷河期の生き残りといわれる珍しいナキウサギの声や、コマドリ、ミソサザイ、ルリビタキなど多くの野鳥の声を聞くことができる。
特に4月から6月末にかけて、巣づくりに励む野鳥の美しいさえずりが多く聞かれ、訪れる人をなごませてくれる。
(残したい日本の音風景100選から)
鶴居のタンチョウサンクチュアリは、市街近郊にありながら北国らしい田園風景が漂う。
一時絶滅が心配された特別天然記念物で、北海道の鳥にも指定されているタンチョウが、この地に見られるようになったのは、地元や地域住民の懸命な保護活動のおかげである。今では、冬期間200羽を越えるタンチョウが飛来してくる。
純白と黒のコントラストに赤いベレー帽を被せたような気品高い美しさとともに、つがいが鳴きあう声や若鳥の声、北キツネやエゾシカを警戒する声など、目と耳を同時に楽しませてくれる。時には優雅に、時には激しく鳴く声は生命力に満ちあふれ、華麗な求愛ダンスは、見る人に深い感動さえ与えてくれる。(weblio辞書から)
ハリストス正教会は、初代ロシア領事館附属聖堂として安政6年(1859年)に建てられたのが始まり。現在の建物は、大正5年(1916年)に建設されたものである。
ロシア司祭ニコライが日本に初めて伝えたとされるギリシャ正教の由緒あるこの教会は、白い壁に青緑の尖塔をあしらったビザンチン様式の優美な外観が印象的で、観光客の目をひときわ引きつける。
さらに市民からも「ガンガン寺」の愛称で親しまれ、函館のシンボルとして国の重要文化財に指定されている。
その鐘は、オルゴールのようなメロディのある独特の明るい音色を響かせ、港を見下ろす異国情緒あふれる元町一帯の景色とともに、訪れる人々に憩いのひとときと安らぎを与えている。
(残したい日本の音風景100選から)
演出:岡田一男、鈴木由紀
撮影:谷口常也、草間道則
音声:磯山直樹、清水繁
ナレーター:石原良
プロデューサー:吉田博、岡田一男