サンマテオ美術・映画コンペティション:金賞
アジアン・シネヴィジョン国際映画祭
サンホゼ映画祭
Public Broadcasting Station KQED San Francisco.
The UCLA Trans-Pacific Symposium.
The Japanese American National Museum.
The National Japanese American Historical Society.
The Steinbeck Institute.
The Japanese American Citizens League.
The San Francisco Public Library.
制作:ワシズフィルムズ 企画:米国日語協会
共同制作:米国日語協会 フジテレビ・サンフランシスコ
配給: ワシズフィルムズ
1984年 カラー 54分 (2018年 デジタル・リマスター)
20世紀初頭、カリフォルニアに渡米した日本人一世のインタビューが中心の、全54分のドキュメンタリー映画。撮影当時ほとんどが80代、90代の一世の方々がそれぞれの生き方を個性豊かに証言されている様子が収められている。
プロデューサー:石崎五郎/クリストファー広瀬/庄司幸雄
脚本・監督・撮影・編集:鷲巣とし
音楽:JAMIE KIBBEN
ナレーション: 池田徳夫
放送文化基金
National Archives.
American Studies Central, Inc.
Steven Okazaki.
KQED TV.
California First Bank, History Room.
California Historical Society.
Visual Communications/Asian American Central, Inc.
デジタル・リマスター:NPO法人科学映像館
George and Sakaye Aratani Endowed Chair Grant, Lane Hirabayashi, Asian American Studies, UCLA.
The UCLA Asian American Studies Center and The Aratani C.A.R.E. Award.
UCLA International Institute.
日系新聞 Rafu Shimpo.
日米タイムズ
The Journal of American Ethnic History.
San Jose Mercury News.
U.S. FrontLine.
「一世の素顔」は、20世紀初頭にカリフォルニアに渡米した日本人一世のインタビューを中心とした、1984年制作 全54分のドキュメンタリー映画です。撮影当時、ほとんどの一世は80代、90代でしたが、皆さん、愛知、広島等の出身地の方言豊かに、写真結婚、農園季節労働、人種偏見、1942年の日系人の収容所隔離など、アメリカ生活の苦労体験を、腹を割って話してくださいました。
この映画の英語版「Issei: The First Generation」は、1984年にサンフランシスコのテレビ局 (Public Broadcasting Station KQED) で放映されました。その後30年間、日英両語版ともオリジナルビデオマスターが倉庫に放置されたまま劣化していたのを、2018年にNPO法人科学映像館の多大なるご支援、並びに George and Sakaye Aratani Endowed Chair Grant; Lane Hirabayashi, Asian American Studies, UCLA; The UCLA Asian American Studies Center and The Aratani C.A.R.E. Award のサポートにより、新たにデジタル復元化され、公開することができました。
今日日系アメリカ人の歴史に関する情報は、まだ一般にはなかなか知られていません。科学映像館のウェブサイトを通して、より多くの方々に見ていただくことによって、日系一世の記録を将来の世代に伝えていきたいと思っています。日本人とは何か、どのように考え・感じる人種なのか。日系人が歩んできた人生、収容所隔離などの苦難の歴史を通じ、若い世代に伝えられることが私の願いです。
同時に、海外移民・比較文化等の学術分野での資料として活用いただければと思っています。日本では津田塾大学名誉教授、海外移住資料館学術委員会会長の飯野雅子教授。アメリカでは自身、日系三世であり、アジア・アメリカ研究のUCLA名誉教授 Lane Hirabayashi氏。同氏は「この映画は、だれもが心を動かされる歴史の教訓を提供する資料となるとともに、大学、教育文化会議、シンポジウムといった場で活用すれば貴重な教材となる」とご支援いただいており、今回のデジタル・リマスターの実現は重要な第一歩となりました。
2018年5月 鷲巣 とし
ワシズフィルムズ プロジェクト ディレクター
Email:washizufilm@gmail.com
「一世の素顔」のデジタルリマスタリングは数奇な運命を持って完成しました。
制作者鷲巣 敏さんが当時のフジテレビジョン(日本人向けのテレビ制作)ディレクターとして、日系人協会からの依頼で制作したのが1984年。サンフランシスコの公共テレビ局(Public Broadcasting Station KQED)にて放映されました。その後、30年間地下倉庫に放置されたままでした。
2014年UCLAアジア系アメリカ人の研究学部(Asian American Studies Department)の平林教授(Lane Hirabayashi)から突然鷲巣さんに連絡があり、「この映画は貴重な歴史の記録で、将来の世代のためにも修復保存をすべき」と、簡易修復し、教授のご尽力で大学図書館、日系人保存博物館等で公開しました。実は平林教授は1984年のテレビ放送を録画した方から、この映画の存在を知り、コピーを取り、自身の授業で長く教材として使われていたとのこと。教授は劣化の激しくなってきた映像を修復する必要性を感じ、制作者を探し出し、鷲巣さんに連絡されたとのことです。
ところが、修復にはお金がかかるので、あらゆる基金に申請しましたが、足りません。2年前日本へ帰国した際、修復協力してもらおうとNHKプロデューサー等各方面にアプローチしましたが結局あきらめることとなりました。本年(2017年)たまたま、私(梅林)の友人に相談したところ、NPO法人科学映像館を知っていて、半信半疑でしたが久米川理事長にメールにてお願いし、今日の運びとなりました。かなりの年月と紆余曲折の経緯がありました。NPO法人科学映像館のご尽力・ご支援。それに、この作品を世に広めようとする様々な後押し、力それに宿命を感じる次第です。
「一世の素顔」は現存するマスター素材がUマチックというビデオテープであった。Uマチックは1970年代中期から1980年代にかけて多く使われたテープである。再生機は当然のことながら希少であり、テープも経年劣化の影響で再生もままならない。
本作品の作業に於いては先ず徹底したテープクリーニングから始めた。テープそのものを最良の状態にすることで、ビデオ系ノイズの発生を抑えることが出来る。再生機も整備済み機材を所有していたため、問題なくデジタル化が出来た。
次にこのデジタルデータのカラーコレクション作業を行う。カットごとにコントラスト、色調の鮮やかさを付け加えていく作業である。全体及び前後のカットとのバランスを取りながらの調整が必要で、手間と時間を要する作業である。同時に別ラインで音声の整音作業も行った。
今回のようなリマスター作業は手間暇と独自のノウハウ技術を要するものであるが、弊社にとっては通常の作業である。寧ろ資料の劣化問題に目を向けて頂きたい。これまで修復不可能の状態まで劣化した資料を多く目の当たりにし、何ともやるせない思いを経験してきた。1本でも多くの作品を後世に遺すために役に立ちたいと言う思いを胸に、スタッフ一同日々の業務に当たっている。
http://www.koon.co.jp/
東京光音所長 松重秀明