科学映画の活用法

科学映像館配信映像の授業への魅力

< 脇町中学校校長 前徳島県教育員会次長 国見武男 >

2011年度の学校での活用状況を見ると、なんといっても東日本大震災巨大津波にかかわる活用が目立つ。端的に言うと「地震」「津波」について理解させ、防災への意識を高めるために活用したといえる。

子どもに「地震」や「津波」ってどんなものか? 伝えようとしてもなかなか伝わるものではない。言葉や文章そして写真で伝えることも可能であろうが、なかなかイメージとして伝えるのは容易なことではない。特に、小学校低学年ではなおさらである。現実に起こった津波を見せれば、容易に理解させることができるのではあろうが、それも容易なことではない。

しかし、記録された動画に説明を加えれば、より速くイメージや理解を深めることが可能である。このことは、教室の中で実験したり再現したりなどで教えるのに無理があるものを理解させる方法としては代表的なものである。

しかも、今回の東日本で起きた状況は、後世に伝え、今後の対応を考えさせる大きな教材とも考えられる。百聞は一見にしかずといわれるが「動画」はそれに最も近い伝達力を持っているものであり、その歴史も伝える貴重な資料でもあると受け止められる。

重清西小学校では「カブトムシの研究」が活用された。生活環境が変化して「カブトムシ」そのものが購入しないと入手できない時節。しかも継続的に観察するなどしての昆虫の生態を児童に指導するのも容易なことではないが、数少ない現物のカブトムシに連動させ、動画により児童により適切に理解を深めさせている。

また、この小学校では「つよい骨とよわい骨」も低学年で活用し、給食などに出てくる牛乳などの必要性を理解させ、好き嫌いな食生活の改善にも試みている。

岩倉中学校では、社会科で「ALS患者」について取り上げ、授業では科学映像館配信映像から「難病患者の心をつなぐテクノロジー(心語り)開発物語」を活用。ALS患者のまわりの人の思いを知り、ALS患者の思いを知る。

そして「人工呼吸器を外してください」「生と死」をめぐる議論、「生きること」について考える。人間の心をゆさぶり、人として考え深いものがある授業展開もされた。

三島中学校では「水車から電気へ」が活用された。生徒の感想文に「人の知恵ってすごいと思いました」「水車で電気を起こしていたとは知りませんでした」「原子力発電もいいのかもしれませんが、事故が起きれば大変だ。水力発電なども使えばいいのに」「江戸時代後期からは水車の活用がすごい」などの感想。電気の起きる様子だけでなく、ここでも歴史的な背景を感じた感想が見られ、映像館の動画の良さを感じた次第である。

そのほか、学校行事で「ウォーキング-正しい歩き方」を保護者に視聴してもらった。「カルピスの誕生」を総合的な学習の時間で活用した。美馬市地域雇用創造協議会で「和傘の里」を活用した。そして、和傘作りが新しい年度にも引き続き行われているなど、うれしい報告もあった。

終わりに私なりの授業に生かす魅力について列挙してみると、

(1)教科等の授業で知識理解を深めるのに活用できる
(2)心をゆさぶる道徳教材として
(3)総合的な学習の時間などの疑似体験として
(4)感覚の指導の補助教材として
(5)言葉で表現しにくいことの伝達、事実の継承

そして、どの作品も歴史的背景を持っており文化継承としての価値がある。しかも、簡単にネットで活用できるので、多くの方々に活用していただきたいものである。

< 活用一例 理科 >

穴吹中学校にて

穴吹中学校にて

【生徒感想】
私はあんな大きな地震を体験したことはないけれど、DVDで見ているだけでも怖くなりました。そして津波の恐ろしさを知りました。南海地震が起こると言われているので、その時に向けていろいろ準備しておきたいです。

美馬市地域雇用創造協議会

美馬市地域雇用創造協議会

重清西小学校

重清西小学校

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