撮影:平林信也氏
1929年~1932年 9.5mmフィルム 白黒(無声)
平林信也氏が収録した個人作品。何気ない日常の映像ですら、当時の景観が収録された貴重な作品。非常に古いフィルムのため、復元可能な作品のみをデジタル化した。
今回は建国祭、花見、子供たちの遊びなどから、私たちの忘れ行く戦前の日々を蘇らせてくれた貴重な映像である。
この映像は、平林信也が撮影したものです。使われた機材は、フランス パテー社の家庭用小型映画撮影機(パテーベビー)です。
信也は、京都大学工学部機械工学科を卒業してから、三菱造船(現三菱重工業)に入社しましたが、その後、身体をこわしたので退社して療養し、若干の曲折の後、大正の中頃鉄道省に奉職しました。
昭和4年頃、名古屋工場長に栄転することとなり、そのお祝いとして職員諸氏がこの撮影機並びに映写機を贈って下さったものです。信也は元々写真の趣味があり、大正の頃から色々なカメラを使って撮影し、一時は愛好家のクラブにも入っていた位熱中していました。そこで、この機会に本人の希望で、これを頂いたものと思われます。
撮影は昭和4年から7年までのようです。宏信が小学校に入学したのは昭和7年ですが、記録としてはせいぜい2年生位までのものしかないからです。だんだんフィルムが入手しにくくなったのかも知れません。
この映画のフィルムの購入並びに現像の依頼先は、渋谷の鈴井薬局です。スチールカメラ(普通のカメラ)のフィルムの購入・現像・焼付もそちらにお願いしていました。当時は現在のDPE屋さんは、どこにも無かったと思います。この鈴井薬局は大きな店でしたが、渋谷駅前の大十字路の角、現在三千里という薬屋さんのある角にあったのを覚えています。
資料提供:宏信氏の長男、宏幸氏